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ラグは少なくなったとはいえ、なくなったわけではない。入力が実際に反映されるまでの遅延はpingが低くてもそれなりに存在する。特に全体スピードの速いゲームをやった場合、ラグの量が一定であっても、相対的にラグの影響力は上がる。だからなるべく全体スピードの遅いゲームの方が、ネット対戦には向いている。またシビアな目押しコンボやリバーサルが重視されるゲームも向かない。画面を見ないで連続入力しても入るような連続技なら問題ないが、視覚でタイミングを取る必要がある物は、入力の遅延によってタイミングがずれてしまう。

格闘ゲームは基本的に、後年になればなるほどゲームスピードが上昇し、長い連続技を入れる事が前提のダメージバランスとなり、そのコンボの尺もひたすら長くなって行った。従って、一部の例外を除いて、格闘ゲームは後年の物になればなるほど、ネット対戦への適性(レイテンシへの耐性)は下がると言える。

プレイ環境面の問題も無視できない。ゲームセンターでは必ずコンパネでプレイできるが、自宅ではパッドで操作せざるを得ない場合がある。その場合入力精度には自ずと限界が出て来る。また自宅で対戦を行う場合、その相手は多くの場合身内となり、相手となる人物が「当時はプレイしていたがもう何年もプレイしていない」とか、あるいは「全くそのゲームをやった事がない」という場合も出てくる。その場合、そのゲームのルールや操作系が十分に単純であるかどうかは、短時間でゲームを楽めるかどうかを決定する上で意外と重要なポイントになる。

以下、上記の観点に基づいて、対戦ツールとしての品質とレイテンシ耐性をゲームごとに記す。

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スト2'~Hyper (1991~1994, 2004)

対戦格闘ゲームの元祖であり、単発重視かつ低速のゲームで、Turboを高くしすぎなければレイテンシ耐性は非常に高い。ダメージを与える基本的な形として固め投げがあり、ガードは投げに崩され、投げ返しは打撃で潰され、無敵技はその両方に勝つ、という2D格闘の基本ルールはこの時点で既に完成している。必殺技以外の特殊入力が投げしかないというシンプルさは特筆すべき点。ただし必殺技を多用しないと戦えないキャラが多く、しかもその大半がハイリスクなカウンター技であるために、全体的に非レバーでの操作は苦しい。多用されるはずのリバーサルもラグのせいで出しづらく、ガードがちの別ゲーになりやすい。

餓狼伝説2~SP (1992~1993)

単発重視かつ低速でレイテンシ耐性は十分。餓狼伝説2に至っては単発重視どころか単発でしか攻撃が入らない。逆に餓狼伝説SPは小P繋がりすぎ、爺ピヨりすぎで若干安直な感はあるが、全体として見れば概ね良好。特殊システムもライン移動とふっ飛ばしぐらいで分かりやすい。唯一異様に分かりにくいのは超必殺技コマンドだが、これについてはご時世だと思って諦めるしかないか。ライン移動はこのシリーズの象徴と見なされる事が多いが、ゲーム性から考えるとわりと蛇足。

餓狼伝説3 (1995)

安易な無限段のせいで一般的にクソゲー扱いされており、実際クソゲーなのだが、そこを除けば正当進化版である事は確か。ラインがスウェーラインと呼ばれる物に変化し、相手の攻撃に合わせて避けると反撃しながら戻って来れるという、実質KOFの避けと似たような設計思想の物に変わっている。無限段と操作感だけどうにかすれば、ひたすら小攻撃を連打するRBシリーズよりマシな気もする。

リアルバウト餓狼伝説/Special/2 (1995~1998)

作り直した餓狼伝説3。レイテンシ耐性は変化なし。無限段が削除されたほか、手前がA+B、奥がB+Cで操作の煩雑だったスウェー操作がDに一本化された。そのせいで手前と奥の2つに分かれている意味がほとんどなくなったが、操作はシンプルになった(実際Special以降は2ラインに減っている)。変だった必殺技の入力判定も普通の物に変わった。ただしゲーム性に問題があり、チェーンコンボがあまりにも簡単かつ強力すぎるせいで、当たるまでひたすら小攻撃を連打する作業的なプレイになりやすい。

サムライスピリッツ1~2 (1993~1994)

単発重視かつ低速、スト2以上の立ち合い重視、そして必殺技を要所でしか使わない、または大斬りが必殺技相当というゲームであり、初期の格闘ゲームの中でも際立ってレイテンシ耐性が高い。初代は攻め手が少なく待ちが強いので対戦ツールとして若干面白味に欠けるが、真はダッシュ投げの強化(ダッシュ後レバーを入れたまま連打で投げられる)によってかなり出来の良いシステムになっている。モーションの滑らかさと時間制御系演出の巧みさ(大斬り命中時の長いヒットストップとその後のヒットスローなど)は同シリーズの続編や他のゲームと比較してもかなりレベルが高い。

サムライスピリッツ斬紅郎無双剣 (1995)

食らいモーションの無敵を削除、通常技のリーチを長いままキャンセル可能にし、さらに空中ガードの導入によって空中衝突を否定した結果、前作とは似ても似つかないクソゲーになった。周知の通りイージーな無限段も山盛りで、他にも通常技キャンセル必殺投げでガードモーション中の相手をそのまま投げられる等、対戦ツールとしては限りなく終わっている。ビジュアルエフェクトがなぜか前作より退化しており、大斬り命中時の重さの表現等は消滅している。レイテンシ耐性だけは問題なし。

サムライスピリッツ天草降臨 (1996)

キャンセルのかかる技が減り、空中ガードが削除された結果、対戦ツールとしてはそれなりにまともになっている。ただし無限段は引き続き多数存在。斬紅郎のシステムに加え、C+Dで連斬始動、連斬始動後にAABBCCABCCCCCで14連斬、A+B+Cで怒り爆発、怒り爆発中にA+B+Cで連ね斬り、その6段目にA+B+Cで連ね8、8段目にA+B+Cで連ね9、さらにA+B+Cで連ねフィニッシュ、B+C+Dで一閃、相手ダウン時に2+斬りで小追い討ち、8+斬りで大追い討ち、スタート3回で武器捨て挑発と、書くだけでダルい数々のシステムが追加。さすがに知らない人間にいきなりやれと言うのは無理がある。他のゲームに比べれば言われるほどのコンボゲームではないが、崩し直後等にダッシュ攻撃を含めた目押しコンボが要求される点など、このシリーズで最もレイテンシ耐性が低い事は否定できない。

サムライスピリッツ零/Special (2003~2004)

剣気の概念と無の境地が追加されているが、連斬、連ね斬り、避け、崩し後の目押しコンボ等が削除された事に加え、ダッシュ以外の特殊移動がレバー入れDに一本化されたため、真以降の歴代作品の中では一応最も真に近い。ただしゲームスピードは速いし、ビジュアルエフェクトは天草仕様のまま。

× ヴァンパイア/ハンター/セイヴァー/セイヴァー2/ハンター2 (1994~1997)

シリーズで個別に差はあるが、どちらにせよ無理なのでまとめて書く。最初の2作についてはTurbo1/Normalならば十分に遅く、レイテンシ耐性は一応高い。しかしスト2とは対極的な攻めゲーであり、地上チェーンとガードキャンセルだけならまだしも、ダッシュ攻撃と空中チェーンの組み合わせによる高速な正逆攻撃または下中段攻撃が非常に見切りづらく、ガードが非常に不安定。やった事のない奴にいきなりやれと言ってもできないゲームの代表格。

KOF94~95 (1994~1995)

単発重視、かつ低速でレイテンシ耐性は十分。94は大大必殺で4割減って気絶したり、小足払い連打がやたらに強かったり、妙に初代スト2に似ている。95は無限段がいくつかある事や、ガードキャンセルがあまりにも簡単で強い事がネックだが、とりあえず適性自体は高い。

× KOF96 (1996)

ゲームスピードが上がり、ヒットストップ/ガードストップもやたらに短くなり、さらにダッシュ小中大ジャンプと異様に判定のでかいふっ飛ばし攻撃のせいで、前作とは似ても似つかないバッタゲームになっている。当然レイテンシ耐性は非常に低い。必殺技の入力判定が非常に厳しく、かなり正確かつ素早く入力しないと出ないのも萎える。

× KOF97~98 (1997~1998)

ゲームスピードがさらに上昇、レイテンシ耐性が低下。特にジャンプ攻撃を地上の相手に当てる時のタイミングが顕著にずれる。またこの辺りから完全に連続技を前提としたダメージバランスとなり、単発重視ではなくなっている。

× KOF99~2003 (1999~2003)

99以降2003に至るまで年を追うごとに少しずつゲームスピードが上昇(か、あるいはヒット/ガードストップが短縮)しており、後に行くほどレイテンシ耐性が下がる。2000以降はストライカー仕様が変わってコンボゲーム化が進行しているので尚更辛い。唯一ストライカーのない2002も「どこでもキャンセル」があるので似たようなもの。

月華の剣士/月華の剣士第2幕 (1997~1998)

低速でレイテンシ耐性は十分。連続技が出来ないと対戦できない程度のダメージバランスなので、単発重視というほどではないが、事前知識量としてはそこまで多くはない。目押しも一部難しいキャラはいるが大半は簡単。チェーンは最初のタイプ選択で「技」を選んだ時のみ使用可能で、最長で4A→A→A→B→nしかないのでやはり簡単。

× X-MEN/Marvelシリーズ (1994~1997)

コンボゲームの元祖と言うべき存在。ヴァンパイアのシステムをさらにインフレさせたような内容になっており、地上チェーンから入って途中で相手を浮かしてキャンセルジャンプして空中チェーンまで入れて1セット、吹っ飛んだりダウンしても無敵にならず自発的に受け身を取らないと拾われてさらに追撃を食らう、壁を使うと通常拾えない相手も拾える、一部キャラは2段ジャンプできる、一部キャラは空中ダッシュできる等、後年のコンボゲームの基本的要素を全て備えている。知らない人間にいきなりやれと言っても出来ないゲームの代表格その2。

ストZERO1 (1995)

キャラがスト2のぬるいヴァンパイアハンターのような物。チェーンの繋がるコースがかなり限定的で、空中チェーンもなくなっているので、向こうよりずっと単純。レイテンシ耐性はTurbo Offなら問題なし。

ストZERO2 (1996)

チェーンコンボが廃止され、ZERO1よりもさらに普通寄り。デフォルトのゲームスピードは速くなっているが、ディップをいじるとZERO1並に遅くする事が可能なのでレイテンシ耐性は問題なし。オリコンもそれほど敷居は高くない。

× ストZERO3 (1998)

シンプルだったZERO2とはうって変わって複雑。吹っ飛んだあと空中で受け身を取らないと追撃されるようになり、浮いた相手を拾って運んだり、画面端に引っかけて拾い直すような連続技が多数成立するので、スタートラインが遠い。またオリコンは後年のコンボゲームに匹敵するほどの異世界になっている。パッと見普通そうに見えていきなりやれと言っても出来ないゲームの代表格その3。

餓狼MOW (1999)

後期に開発されたゲームにしてはかなりシンプル。ゲームスピードもそれなりに遅くレイテンシ耐性は高い。特殊システムも少なめで理解しやすい。ただしこれはあまり突き詰めずにやった場合の話で、ブレーキングとフェイントを使いこなして突き詰めたプレイをしようとすると、さすがに厳しい。


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