# 当時から、個人的にカプコン系のゲームは必殺技が出にくい、SNKは出やすいという印象があったので、実際どれぐらい差があるのかを適当にゲームを選んで検証してみた。特に表記がない限り基本的に60フレーム=1秒。なぜ60分割が標準的仕様なのか、という事についての説明は省く。諸々の要因により計測値に1フレーム前後の誤差が出ている可能性はあり。 - * 初代スト2 レバーが一定のフレーム内に入力されたあと、さらに一定のフレーム内にボタンが押されればコマンドとして成立する。レバー入力の猶予は236や623といった3方向系コマンドでは11フレーム。より長いコマンドについては調べてないので不明。ボタン入力の猶予は技の強弱で個別に設定されており、小の方が長く、大の方が短い。最後のレバーが入力されたフレームで同時にボタンが入力されても問題ない。 - 236 小波動拳 11+11フレーム 中波動拳 11+9フレーム 大波動拳 11+7フレーム - 623 同じ * スパ2X 初代に比べてレバー/ボタン判定共に厳しくなっている。コマンドが成立するか否かに1フレーム前後の揺らぎがあり、中途半端な加速度のTurboと整数精度しかないフレーム処理の間の整合性の問題か、または正規のフレーム数を越えてレバーやボタンが入った場合でもランダムに成立するという曖昧な動作の、どちらかが存在すると思われる。表を作る上ではおそらく100%出ていると思われるフレーム数を採用した。猶予フレームはTurbo値に関係なく一定で、ゲームスピードが上がる事によって直接的にコマンドが成立しにくくなる事はない。 - 236 小波動拳 7+8フレーム 中波動拳 7+7フレーム 大波動拳 7+6フレーム - 623 同じ - 236236 真空波動拳 18+7フレーム * ストZERO2 スパ2Xと異なり、Turboが上がるほど入力の判定が厳しくなる。Turbo0で初代並、Turbo2でスパ2X並といったところ。技の強弱による猶予時間の差は無い。入力遅れに対するランダム発動の幅がスパ2X以上に広がっており、正確な値を調べるのが困難。スーパーコンボであってもレバー入力の猶予が大して長くならないので若干出しにくい。 Turbo0 - 236 小~大波動拳 11+8フレーム - 623 同じ - 236236 真空波動拳 14+8フレーム Turbo1 - 236 小~大波動拳 9+6フレーム - 623 同じ - 236236 真空波動拳 13+6フレーム Turbo2 - 236 小~大波動拳 8+6フレーム - 623 同じ - 236236 真空波動拳 11+6フレーム * ハイパースト2 初代ともスパ2Xとも違うパラメータが使われている。Turbo1では初代にそこそこ近く(全く同じではない)、Turbo3でスパ2Xと同等の厳しさ、という点はZERO2に似ている。スパ2Xにあった妙な1フレームの揺らぎは健在。キャラのバージョンによって判定が違う可能性はあるが、面倒なのでスパ2Xキャラだけ検証。 Turbo1 - 236 小波動拳 9+11フレーム 中波動拳 9+10フレーム 中波動拳 9+8フレーム - 623 同じ Turbo2 - 236 小波動拳 8+9フレーム 中波動拳 8+8フレーム 中波動拳 8+7フレーム - 623 同じ Turbo3 - 236 小波動拳 7+8フレーム 中波動拳 7+7フレーム 中波動拳 7+6フレーム - 623 同じ * 餓狼伝説SPECIAL 今回調べたSNK系ゲームの中で唯一スト2と同じアルゴリズム(レバーとボタンを個別判定)を使っている。ただし判定時間はカプコン系で一番厳しかったスパ2Xよりもさらに厳しい。強弱による猶予時間の差は無し。最後のレバーが入力されたフレームで同時にボタンが入力されても問題なし。本検証とは関係ないが、2147系を生で出す場合、最後のレバーと同時または1フレーム遅れの2フレームの間にボタンを押さないとジャンプに化けるため、非常に出しづらい。同じ理由で、立ちブレイクスパイラルは理論上可能ではあるが、斜め上を入れたあと次のフレームで下とB+Cを同時に入力しなければならないので、かなり難しい。 - 236 小/大パワーウェイブ 5+6フレーム - 214 小/大半月斬 5+6フレーム - 21416 鳳凰脚 10+5フレーム ブレイクスパイラル 12+4フレーム * 真サムライスピリッツ レバーとボタン全てが一定のフレーム内に収まっているか否かで判定。判定フレーム数は技とその強弱によって個別に設定されている。今回検証したゲームの中で唯一最後のレバーが入力されたフレームで同時にボタンが入力されると失敗と見なされ技が出ない。また、それとは関係なく稀にちゃんと入力しているのに出ない事がある。原因は不明。 - 236 小旋風裂斬 8フレーム 中旋風裂斬 7フレーム 大旋風裂斬 7フレーム ヴルカーン 12フレーム ティーガーコップ 12フレーム - 623 小弧月斬 12フレーム 中弧月斬 10フレーム 大弧月斬 9フレーム * KOF96 レバーとボタン全てが一定のフレーム内に収まっているか否かで判定。最後のレバーが入力されたフレームで同時にボタンが入力されても問題ない。コマンドが入りにくい事で有名なKOF96だが、受け付けフレーム数だけを見れば別段厳しくはない。コマンドの途中に余計なレバーが入ると出ない、という事もない(6321436C等でも問題なし)。ただしレバーは全方向をチェックしており、1レバーでも飛ばすと失敗と見なされる。これが「厳しい」と感じさせる唯一の要因のようである。 - 214 超受け身 6フレーム - 632146 天地返し 14フレーム - 6321463214 地獄極楽落とし 22フレーム * KOF97 レバーとボタン全てが一定のフレーム内に収まっているか否かで判定。KOF96の反動で、今度は暴発しすぎる事で有名になったKOF97は、半回転を越えるコマンドが大抵かなり簡略しても出る。なぜか一部の技(確認した限りで天地返し)だけが、最後のレバーとボタンを同時に入力すると失敗と見なされる。理由は不明。 - 214 超受け身 9フレーム - 632146(6346) 天地返し 14フレーム - 6321463214(634614) 地獄極楽落とし 19フレーム * KOF98 レバーとボタン全てが一定のフレーム内に収まっているか否かで判定。レバーの評価はKOF96ともKOF97とも異なり、基本的に斜めを見なくなっている。前作に引き続き、一部の技(確認した限りで天地返しと地獄極楽落とし)は最後のレバーとボタンを同時に入力すると失敗と見なされる。 - 214 超受け身 9フレーム - 632146(6246) 天地返し 13フレーム - 6321463214(624624) 地獄極楽落とし 18フレーム * 月華の剣士第2幕 レバーとボタン全てが一定のフレーム内に収まっているか否かで判定。最後のレバーが入力されたフレームで同時にボタンが入力されても問題ない。全体的に甘めだが、なぜか全ての技の中で「死を恐れぬ心也」のみやたらに判定が厳しい。 - 236 小/大疾風 11フレーム 小/大連刃斬(守矢) 11フレーム 小/大遠間 11フレーム - 623 小/大空牙 8フレーム 小/大新月 8フレーム - 41216(4126) 神気 19フレーム - 641236 死を恐れぬ心也 9フレーム * 餓狼MOW 通常必殺技はレバーとボタンが分離されたスト2と同じアルゴリズムだが、超必殺技のみ全体1セットのSNK方式という、何だかよく分からない仕様。最後のレバーが入力されたフレームで同時にボタンが入力されても問題ない。 - 236 小/大パワーウェイブ 10+8フレーム - 623 小/大パワーダンク 10+8フレーム - 236236 パワーゲイザー 14フレーム バスターウルフ 14フレーム - * 分析 根本的な違いとして、カプコン系はレバーの成立とボタンの成立を分離して判定しているのに対し、SNKは大半のゲームでレバーとボタン全体をセットにして判定している。コマンド入力の難しさというのは基本的にレバー側の問題であるから、この事はコマンド入力のしやすさとは直接関係はない。が、このアルゴリズムの差により、カプコン系格闘ゲームでは「レバーだけ先に入力しておいて実際に出すかどうかを一瞬で再判断する」という事が可能なのに対し、SNK系格闘ゲームではそれが出来ない。 今回検証した中で餓狼伝説SPECIALと餓狼MOWは例外で、両者ともスト2と同じアルゴリズムを使用している。餓狼伝説シリーズは伝統的にこのアルゴリズムを使用していたという事かもしれない。 フレーム数で見た場合、カプコンとSNKのコマンド判定時間に有意な差はない。また非常に判定が厳しいと言われるKOF96も、フレーム数では大した差はなく、ただ「正確に全レバーを必要とする」というだけである。結局のところ、格闘ゲームにおいてプレイヤが「技が出にくい」と感じるのは、半回転以上の長いコマンドでは「本当に全レバーを必要としているか」、それ以下の短いコマンドでは単に「ゲームスピードが速い」事が原因である可能性が高い。 // Time Stamp 2007-06-14 20:00:20 (Last Modify) 2007-06-10 07:57:35 (First Edition) // Bookmarks | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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